1:欲しいものを手に入れる
「がんばれ!クムスン」という韓国のテレビドラマがあります。主人公のクムスンは、若くして結婚しますが、夫が交通事故で亡くなり、子持ちの未亡人となってしまいます。彼女は、幼い子どもを夫の両親に見てもらいながら、大変な思いをして、美容師になるために美容院で見習いで働きます。そしてその美容院の経営者の一人息子で、医師であるジェヒという青年から愛されるようになるのですが、クムスンは最初、結婚の申し出を断ります。
わたしはこれまで欲しいものを手に入れたことがないんです、とクムスンはジェヒに言います。
「周囲から与えられたものだけで、満足して生きてきました。今、やっと生まれてはじめて、欲しいものを手に入れようとしてるんです。それは美容師という職業です。早く一人前の美容師になって、幼い息子を育てなければならないんです。いつまでも義理の両親の世話にはなりたくないんです。だからわたしのことは忘れてください」クムスンという若い韓国女性が生まれてはじめて、必死になって手に入れようとした欲しいものとは、美容師という「職業」でした。
2:お金
欲しいものを手に入れるためには、何が欲しいのかを、自分でわかっている必要があります。ただし、何が欲しいか、自分でわかっている人はそう多くはありません。子どものころは、お菓子やオモチャが欲しいとよく思いますが、お菓子やオモチャはお金さえあれば簡単に買えます。でも子どもはお金を持っていないので、親など大人に買ってもらうわけです。お菓子やオモチャを親に買ってもらうというのは、「与えられる」「与えてもらう」ということで、欲しいものを自分の力で手に入れるということとは違います。
自分は何が欲しいのか、答えを見つけるのは案外むずかしいものです。多くの人は「お金」と答えるでしょう。確かにお金は生きていく上で重要なもので、いろいろな商品やサービスと交換できるので、好きな音楽やおしゃれな服を買ったり、おいしいものを食べたり、海外に旅行に行ったりすることができます。またお金があると、避けられる不幸があるのは事実です。特に、結婚して家庭を持ち子どもが生まれたとき、また病気になったとき、さらに歳をとって一人になったときなど、お金があると非常に助かります。
しかし、お金では絶対に買えないものもあります。それは人間どうしの信頼です。どんなにお金があっても、目の前にお金を積み上げても、他人の信頼を買うことはできません。お金をばらまいて友だちや恋人や仲間を作ったとしても、そういった人たちはお金が目当てなので、お金がなくなったとたん、離れていくでしょう。人間と人間の信頼は、家族や友人という大切な関係において、なくてはならないものです。だから、お金を手に入れることを、職業仕事の最優先の目標にすることは、悪いことではありませんが、家族や友人といった大切な人の信頼を失いやすいのです。お金だけでは信頼という人生でもっとも大事なものを得ることはできません。
3:地位と名声
手に入れたいものとして、「地位と名声」と答える人も多いと思います。まわりの人から尊敬されたり、ていねいな扱いを受けたり、誰もが知っている有名人になることができたらどんなにいいだろうと、誰でもそう思うのではないでしょうか。まわりから冷たくてひどい扱いを受けるよりも、温かくて優しい扱いを受けたいとみなそう思うはずです。バカにされるよりも尊敬されるほうがいいに決まっています。
しかし、どうすれば地位と名声を手に入れることができるのでしょうか。世の中には、若くして名声を得て、有名になる人がいます。わたしは作家として24歳で芥川賞を取り、有名人になりました。でも、賞を取って有名になろうと思ったわけではありません。当時は、小説を書くしか生きていく方法が見つからなかったのです。賞と名声は、小説を書いたあとで、付録のようについてきて、もちろんいいこともありましたが、こんなに若くて有名になってしまってこれから作家としてやっていけるのだろうかという不安を覚えました。その不安から逃れるには、小説を書くしかなくて、少しずつ作家としての自信ができてきました。
地位と名声を手に入れたいと思うのは、人間として自然なことで、悪いことではありません。そういった欲求や欲望は、わたしたちが何かを成しとげようと努力するのを助けることがあります。しかし、問題は、何によって地位と名声を手に入れるのかということです。それが自分でわかっていない人は、どんなにあがいても地位と名声など得ることはできません。そして、ほとんどすべての人にとって、職業?仕事以外に、地位と名声を得る手段はないのだと思います。確かに、たとえばオリンピックで金メダルを取れば、地位と名声を得ることができますが、そんな人は多くても日本全体で10人程度で、大変な努力が必要で、しかもオリンピックは4年に一度です。
海外の王室貴族と結婚した女性も地位と名声を手に入れることができるかも知れません。国内でも、有数の大金持ちや有名人と結婚すると、有名になれる場合があります。ただ、結婚というのは相手がいてはじめて成立するもので、努力すれば実現できるわけではありません。自身の努力で実現できないことを、目標にすることはできないのです。
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1. 得到想要的东西
韩剧“加油,金顺”中,女主人公金顺很年轻就结婚了,丈夫因交通事故离开人世,幸存的她成了单亲妈妈。她把幼小的孩子托付给孩子的爷爷奶奶,抱着特别的想法,为成为一名美容师在美容院见习。之后,美容院院长那当医生的独生子在熙爱上了她,最开始她拒绝了他的求婚。
金顺对在熙说至今我不曾得到过想要的东西。“从周围得到东西,我就能很满足地活下去了。现在,终于生平第一次想得到想要的东西,那就是美容师这个职业。我想早点成为一名出色的美容师,之后就必须抚育幼小的孩子。我不想一直让公公婆婆照看孩子。所以请你忘了我吧!”年轻的韩国女人第一次拼命努力想得到的东西是“美容师”这一职业。
2. 金钱
要得到想要的东西很有必要弄清楚什么东西才是自己真正想要的。可是明白自己真正想要的东西是什么的人并不多。孩提时代,经常想得到小点心和玩具,只要有钱点心和玩具是很容易买到的。但是由于孩子没钱,这些都是父母等大人买给孩子。父母买点心和玩具给孩子是“被给”“得到”而不是靠自己的自身的力量得到的东西。
自己想要的是什么?找到答案竟出乎意料的难。很多人大概会答道“是金钱”。的确,金钱在生存这一层面上是很重要的东西,能用钱购买很多商品和服务。能买到喜欢的音乐和漂亮的衣服,能品尝美味佳肴,也能去海外旅行。此外,有钱还能避免很多不幸,特别是已婚家庭有孩子的时候,人生病的时候,年迈孤单一人的时候,钱都能帮上大忙。
但是也有钱买不到的东西。那就是人与人相互间的信赖。不管多么有钱,在别人面前堆满钱也买不到别人的信任。就算花很多钱得到朋友、恋人、伙伴,由于这些人都是以钱为目的而交往,一旦没钱了,他们就会离开。人与人之间的信赖,是亲情和友情不可或缺的一部分。因此,将得到金钱作为工作的首要目的,是无可厚非的,但对于家人和朋友而言很容易失去彼此间的信赖。有钱不能得到人间最宝贵的信赖。
3. 地位和名声
我觉得很多人应该是在追求“地位和名声”。受到周围人们的尊敬,受到恭恭敬敬的招待,成为家喻户晓的名人,这是一件多么好的事啊!谁都是这样想的吧。比起遭到冷遇,人们应该更希望得到热情招待吧。比起被人当成傻瓜当然被人尊敬更好了。
但是,怎样才能得到“地位和名声”呢?世间也有年纪轻轻就名声显赫的名人。我24岁以作家身份获得芥川文学奖,成为名人。然而我并没有想因获奖成名。当时只找到写作这一谋生方法。获奖和获得名声是写小说的副产品,当然这也有好的一面,但是,这么年轻就成名了,今后能否成为一名出色的作家呢?我心里开始了不安。能让我逃离那种不安的只有继续写小说了,渐渐地我有了作家的自信。
想得到地位和名声,对人来说是再自然不过的东西了,没有什么不好的。这种欲望和欲求有时激励我们为做成某事而努力。但是,问题是通过什么得到地位和名声。如果不知道的话,自己无论怎样挣扎也只是徒劳。几乎所有的人都认为除了工作就没有其它获得地位名声的方法。确实如此,例如在奥运会上获得金牌,地位名声就能双收。那样的人很多,但在日本也就不过10人左右,辛勤努力是必不可少的,与此同时奥运会每4年才一次。
女性和外国王室贵族结婚可能也能获得地位和名声。在日本国内,也有少数富豪与名人结婚后自己也成名的。只是,结婚是在有对象的前提下才能成立的,并不单是努力就能实现。通过自己努力也不能实现的是不能作为目标的。
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