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文学作品赏析:《端午節》(中日对照)

作者:鲁迅 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2015-5-7 9:17:56 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语



「払出しが十分でないから受取ることが出来ない。銀行はとっくに門を閉めてしまったから、八日まで待つより外はない」


“发不及了,领不出了,银行已经关了门,得等初八。”


「自分で被入ったの」彼女は恐る恐るきいた。


“亲领?……”伊惴惴的问。


「自分で行くことは取消されてやっぱり会計課から分送することになった。しかしきょうはもう銀行が閉まったから、三日休んで八日の午後まで待たなければならない」彼は席に腰を卸し地面を見詰めながら一口お茶をのんでようやく口をひらいた。


「いい按排に役所の方ではまだ問題が起らないから、大概八日になったらお金が入るだろう……あんまり懇意にしない親戚や友達のところへ金を借りにゆくのは、実につらい話だ。わたしは午後厚釜しく金永生を訪ねてしばらく話をした、彼はわたしが給金を請求せぬことや、直接受領せぬことを非常な清高な行いとして賞讃したが、わたしが五十円融通してくれと申込むと、たちまち彼の口の中へ一攫みの塩を押込んだようにおおよそ彼の顔じゅうで皺の出来るところは皆皺が出来た。近頃は家賃が集まらないし、商売の方では元を食い込むし、これでもなかなか困っているのですよ。同僚の前へ行って取るべきものを取るのは当然ですから、そういうことにおしなさい、とすぐにわたしを弾き出した」


“亲领这一层也已经取消了,听说仍旧由会计科分送。可是银行今天已经关了门,休息三天,得等到初八的上午。”他坐下,眼睛看着地面了,喝过一口茶,才又慢慢的开口说,“幸而衙门里也没有什么问题了,大约到初八就准有钱……向不相干的亲戚朋友去借钱,实在是一件烦难事。我午后硬着头皮去寻金永生,谈了一会,他先恭维我不去索薪,不肯亲领,非常之清高,一个人正应该这样做;待到知道我想要向他通融五十元,就像我在他嘴里塞了一大把盐似的,凡有脸上可以打皱的地迫都打起皱来,说房租怎样的收不起,买卖怎样的赔本,在同事面前亲身领款,也不算什么的,即刻将我支使出来了。”


「節句の真際になって金を借りに行ったって、誰が貸すもんですか」


方太太は当りまえのような顔付で少しも口惜しがらない。


“这样紧急的节根,谁还肯借出钱去呢。”方太太却只淡淡的说,并没有什么慨然。


方玄綽は頭をさげて、これは無理もないことだ。わたしと金永生は元から深い識合いではなかった。彼は続いて去年の暮れのことを思い出した。そのとき一人の同郷生が十円借りに来た。彼は明かにお役所の判のついてある手形を持っていたが、その人が金を返してくれないと困ると思って、はなはだ六ツかしい面を作り、役所の方からはまだ月給が下らない、学校の方も駄目で、実に「愛してはいるが助けることが出来ない」と言って彼を空手で追い帰した。その時自分はどんな顔をしていたか。もちろん自分で見ることは出来ないが、何しろすこぶる息がつまり脣が顫えて、頭を動かしていたに違いない。


方玄绰低下头来了,觉得这也无怪其然的,况且自己和金永生本来很疏远。他接着就记起去年年关的事来,那时有一个同乡来借十块钱,他其时明明已经收到了衙门的领款凭单的了,因为死怕这人将来未必会还钱,便装了副为难的神色,说道衙门里既然领不到俸钱,学校里又不发薪水,实在“爱莫能助”,将他空手送走了。他虽然自已并不看见装了怎样的脸,但此时却觉得很局促,嘴唇微微一动,又摇一摇头。


それはそうと彼は、ふと何かいい想いつきをしたように、ボーイを呼んで命令を発した。


「街へ行って『蓮花白』を一瓶借りて来い」


店屋は明日の払いを当てにしているから大抵貸さないことはあるまい。もし貸さなければ彼等は当然の罰を受けて、明日は一文も貰えないのだ。


然而不多久,他忽而恍然大悟似的发命令了:叫小厮即刻上街去赊一瓶莲花白。他知道店家希图明天多还帐,大抵是不敢不赊的,假如不赊,则明天分文不还,正是他们应得的惩罚。


蓮花白は首尾よく手に入った。彼は二杯のむと青白い顔が真赤になった。飯を食ってしまうと彼はすこぶる上機嫌になり、太巻のハートメンに火を点け、卓上から嘗試集を攫み出し、床の上に横たわって見ていた。


莲花白竟赊来了,他喝了两杯,青白色的脸上泛了红,吃完饭,又颇有些高兴了,他点上一枝大号哈德门香烟,从桌上抓起一本《尝试集》来,躺在床上就要看。


「じゃ、あしたは出入の商人の方はどうしましょう」方太太は突然押掛けて来て床の前に突立った。


「商人?……八日の午後来いと言え」


「わたしにはそんなことが言えません。向うで信用しません、承知しません」


「信用しないことがあるもんか。向うへ行って聞けばわかる。役所じゅうの人は誰一人貰っていない。皆八日だ」


“那么明天怎么对付店家呢?”方太太追上去,站在床面前看着他的脸说。


“店家?……教他们初八的下半天来。”


“我可不能这么说。他们不相信,不答应的。”


“有什么不相信。他们可以问去,全衙门里什么人也没有领到,都得初八!”


彼は人差指を伸ばして蚊帳の中の空間に一つの半円を画いた。方太太はその半円を見ていると、たちまちその手は嘗試集を攫んだ。


他戟着第二个指头在帐子里的空中画了一个半圆,方太太跟着指头也看了一个半圆,只见这手便去翻开了《尝试集》。


方太太はこの横車押を見て、あいた口が塞がらなかった。「わたしゃこんな風じゃとてもやりきれませんよ。これから先きのことを考えて、何か他の事でも始めたら……」彼女は遂にべつの道を求めた。


方太太见他强横到出乎情理之外了,也暂时开不得口。“我想,这模样是闹不下去的,将来总得想点法,做点什么别的事……”伊终于寻到了别的路,说。


「何か他の方法といっても、乃公は『筆の上では筆耕生にもなれないし、腕力では消防夫にもなれない』、別にどうしようもない」


“什么法呢?我‘文不像誊录生,武不像救火兵’,别的做什么?”


「あなたは上海の本屋に文章を書いてやりませんか」


“你不是给上海的书铺子做过文章么?”


「上海の本屋? あいつもいよいよ原稿を買う段になると、一つ一つ字を勘定するからね。空間は勘定の中に入れない。お前、見たろう。乃公があの白話詩を作った時、空間がどのくらいあったか。おそらく一冊書いて三百文くらいのものだ。印税は半年経っても音沙汰がない。『遠くの水では近処の火事が救えない』、とても面倒だよ」


“上海的书铺子?买稿要一个一个的算字,空格不算数。你看我做在那里的白话诗去,空白有多少,怕只值三百大钱一本罢。收版权税又半年六月没消息,‘远水救不得近火’,谁耐烦。”


「そんならここの新聞社におやりになってみたら……」


“那么,给这里的报馆里……”


「なに、新聞社にやると? ここの一番大きな新聞社へ、乃公はこの間ある学生を世話して、向うの編輯の顔で原稿を買ってもらったが、一千字書いても幾らにもならん、朝から晩まで書き詰めに書いても、お前たちを養うことが出来ない。まして乃公の肚の中にはあんまり名文章がないからな」


“给报馆里?便在这里很大的报馆里,我靠着一个学生在那里做编辑的大情面,一千字也就是这几个钱,即使一早做到夜,能够养活你们么?况且我肚子里也没有这许多文章。”


「そんなら節句が過ぎたら、どうする積りなんです」


“那么,过了节怎么办呢?”


「節句が過ぎたら?やっぱり官吏さ。あした商人が来て金呉れと言ったら、八日の午後に来いと言いさえすればいい」


“过了节么?——仍旧做官……明天店家来要钱,你只要说初八的下午。”


彼は嘗試集を取ってまた読み始めた。方太太は慌てて語をついだ。「節句が過ぎて八日になったら、わたしゃ……いっそのこと富籤でも買った方がいいと思いますわ」


他又要看《尝试集》了。方太太怕失了机会,连忙吞吞吐吐的说:“我想,过了节,到了初八,我们……倒不如去买一张彩票……”


「馬鹿な!そんな無教育なことを言う奴があるもんか」


“胡说!会说这样无教育的……”


彼はたちまちあの時のことを思い出した。金永生から追払われて、ぼんやりとして稻香村(菓子屋)の前まで来ると、店先にぶらさげてある一斗桝大の広告文字を見た。「一等幾万円」にはちょっと心が動いたが、あるいは足の運びがのろくなったのかもしれん、とにかく蟇口の中に残っているのはわずかに六十銭。実はそれを捨てかねたから思い切りよく遠のいたのだ。彼が顔色を変えると、方太太は彼女の無教育を怒ったのかと思って話の結末をつけずに退出した。方玄綽もまた話の結末をつけずに腰を伸ばして嘗試集を読み始めた。


这时候,他忽而又记起被金永生支使出来以后的事了。那时他惘惘的走过稻香村,看店门口竖着许多斗大的字的广告道“头彩几万元”,仿佛记得心里也一动,或者也许放慢了脚步的罢,但似乎因为舍不得皮夹里仅存的六角钱,所以竟也毅然决然的走远了。他脸色一变,方太太料想他是在恼着伊的无教育,便赶紧退开,没有说完话。方玄绰也没有说完话,将腰一伸,咿咿呜呜的就念《尝试集》。




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