「欧州の天地は複雑怪奇」と言い残して辞職したのは、戦前の首相平沼騏一郎(きいちろう)だった。あまたの国が国境を接し合い、深謀と機略の渦巻く大陸の駆け引きは、島国の政治家には見通せなかったらしい。その4日後、ドイツがポーランドに侵攻して第2次大戦が始まる。
战前首相平沼骐一郎撂下了一句“欧洲这片天地,实在是复杂离奇”的话便辞职而去。众多国家国境相邻,深谋远虑和灵活策略如同汹涌的暗流,展现在这片大陆上的你争我夺,对于岛国的政治家来说,实在无法看透。就在这4天之后,德国入侵波兰,第2次世界大战开始了。
「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争」と国連憲章にある。2度の世界大戦で欧州は戦場になった。惨禍を繰り返すまい、という理念の下につくられた欧州連合(EU)に、今年のノーベル平和賞が贈られる。
联合国宪章中称之为“在我们的一生中,甚至发生了两次将无法用语言表述的悲哀强加给人类的战争”。在这两次世界大战中,欧洲均成为了战场。如此惨祸决不容再现!在这一理念之下建立起来的欧洲联盟(EU)获得了今年度的诺贝尔和平奖。
「ヨーロッパを戦争の大陸から平和の大陸に変えた」というのが授賞の理由という。争いを繰り返した仏と独が協調してEUを引っ張る。その図を奇跡と評する声もあると聞く。
据说,授予此奖的理由是“将欧洲从战争的大陆改变成了和平的大陆”。反复争斗的法国和德国齐心协力引领EU。我们甚至听到有呼声评价这一局面是一个奇迹。
9年前のこと、イラクとの開戦にはやる米国が、反対する仏独を「古くさい欧州」と非難した。それを逆手に取り、仏外相は国連で「戦争と占領と蛮行を経験した古い国から」と意見を述べて異例の拍手を浴びた。演説に込めた思いはEUの原点でもあったろう。
9年前,决定同伊拉克宣战的美国谴责反对开战的法德两国是“陈腐的欧洲”。作为反击,法国外长在联合国大会上以“经历了战争、被占领和暴行的古老国家”的名义阐述了意见,博得了意想不到的掌声。融入演讲中的思想恐怕也正是EU的原点吧。
とはいえ、貧すれば鈍す。いま経済危機という最大のピンチに、ユーロ圏の国々はきしみ、反目も目立つ。震源のギリシャは「底の抜けた樽」といった謗りを浴び、反動から極右政党が台頭している。
话虽如此,可是贫困造成愚钝,当前经济危机这一最大的困境,使得很多欧盟圈内的国家相互对立,反目成仇。震源希腊被指责为“无底酒樽”,并使得反对派极右政党势力大增。
批判もあるのが平和賞の常だが、まさに真価を問われる受賞となる。欧州は自信を持て、とのメッセージでもあろう。グローバル時代、かの天地の先行きに世界の誰も無縁ではいられない。
虽然在和平奖来说,有批评意见也是常事,可是没想到这次颁奖却被上升到质疑其真正价值的程度。或许这也是在向欧洲发出的重拾自信的信息吧。值此全球化的时代,全世界无论是谁,都不可能与那片天地的前途毫无关系。