倉田の家は、横浜市の港北ニュータウンにある。自宅の最寄り駅は、横浜市営地下鉄の「センター南駅」だ。
仓田的家在横滨市的港北新城。离自家最近的车站是横滨市的市营地铁[中心南站]。
渋谷から最寄り駅までは、田園都市線を乗り継いで約三十分かかる。山手線は混雑していたが私鉄に遅れの影響はなく、夏休みのせいかいつもより空いている車内で、倉田は文庫本を読んで過ごした。
从涉谷到最近的车站,换乘市郊线后,大约要30分钟。虽然山手线很拥挤,但它不会受私营地铁的影响而晚点,也许是暑假的原因,电车比往常都要空闲,仓田就读起了文库本打发时间。
市営バスの列に並び、ちょうどターミナルに入ってきたバスの行き先を確認しようと目で追っていた倉田であったが、自分が並んでいる列の後方に視線を移したところで体を硬くした。
排在市营公交的队伍中,想要确认刚刚进入终点站的公交的去向的仓田,当他往自己站的队伍后方看去的时候,身体一下子僵硬了。
さっきの男がそこにいたからだった。
因为他看到了刚刚那个男的也在队伍中。
代々木駅で倉田が順番抜かしを阻止したあの男が、そこにいる。
刚刚在代代木车站想要插队但被仓田制止了的那个男的,站在那里。
まさかと思ったが、素通りさせた視線の端にとらえた姿は、さっきの男に間違いないように思えた。
仓田心想着不会吧,但是印入眼帘的那个身影,分明就是刚刚的那个男的。
同時に、男もまた倉田のことに気づいている——そんな確信のようなものが胸に湧き、ふいに倉田を息苦しくさせる。
与此同时,那个男的也再次注意到了仓田。总觉得他好像在确认什么,这样想着仓田不免又感到了郁闷。
それを証明するかのように、倉田の横顔には、いま列の後尾近くから向けられた男の視線が食い込んでいた。
似乎是在证明这一点,队伍后面的那个男子,死死地盯着仓田的侧脸看。
また新たなバスがターミナルに入ってきて、倉田は気づかないふりを装って男の様子を観察する。視線の端でとらえた男は、じっとこちらの様子を窺っていた。
又有新的公车进站了,仓田佯装没注意到的样子偷偷地观察着那个男的样子。视线偏角里的那个男的一直在偷窥着这边的情况。
まさか同じ町に住んでいたとは!
没想到竟然住在同一个城镇。
なんて偶然なんだろう、と思ったとき、全く別の考えが浮かんで倉田ははっとした。
仓田心想着应该是凑巧什么的吧,因为完全想不出其他的理由反而觉得后背发凉。
尾けてきたんじゃないだろうか?
应该不是跟踪什么的吧。
代々木からここまで、あの男は倉田の後を尾けてきたのかも知れない。
可能那个男的是从代代木车站开始就一直跟踪仓田到这里。