「初老」ということばは、何歳ぐらいの人のことを指すのでしょうか。かつては、40歳ぐらいの人のことを指していました。ただし寿命が長くなった現代では、「初老」が当てはまるのは60歳ぐらいからと考える人が多くなっています。
“初老”一词到底是用来形容多少岁的人呢?过去“初老”一词是用来形容40岁左右的人,可是在寿命变长的现代,很多人开始觉得60岁左右的人才“初老”。
日本には、「還暦」「古希」など、一定の年齢に達した人の長寿を祝うならわしが昔からあります。奈良時代には10年ごとに祝っていたのですが、その最初のお祝いが40歳で、これを「初老」と呼んでいました(『日本風俗史事典』(弘文堂)の「年賀」「賀の祝い」の項)。
日本自古有给“花甲”“古稀”等到了一定年纪的人祝贺长寿的习俗。奈良时代每10年会庆祝一次,最开始是40岁,故将其称作“初老”(弘文堂《日本风俗史事典》中“拜年”“祝贺”一项)。
終戦ごろまでは、次のような文章に見られるように、「初老」が40歳のことを指すという意識はある程度一般的であったようです。
从下面的文章可以看出,在二战结束前,“初老”一般是指40岁。
「私は先日の手紙に於いて、自分の事を四十ちかい、四十ちかいと何度も言つて、もはや初老のやや落ち附いた生活人のやうに形容してゐた筈でありましたが、はつきり申し上げると三十八歳、けれども私は初老どころか、昨今やつと文学のにほひを嗅ぎはじめた少年に過ぎなかつたのだといふ事を、いやになるほど、はつきり知らされました。」(太宰治(1942年)「風の便り」)
“在前几天的信中,我一再强调自己已经快四十了,快四十了,应该是到了所谓四十而立的阶段。但实际上准确地说我现在是三十八岁,而且我深刻地意识到自己别提初老了,明明就只是一个刚嗅到文学气息的少年,这一点让我略感不悦。”(太宰治1942年《风之信》)
その後、日本人の平均寿命が長くなるのと連動して、「初老」に対する意識も大きく変わりました。
在那之后,由于日本人平均寿命变长,人们对“初老”的认识也有很大的改变。
ウェブ上でおこなったアンケートの結果では、「初老」ということばは「60歳ぐらいから使えることば」であるという意見が4割程度を占めていました。これらの回答から「平均年齢」を算出してみると(「何歳でも」という回答は除外)、男女別には女性のほうがやや「高めに」とらえていることがわかりました。また、回答者の年代が高くなるほど「初老」の平均年齢も少しずつ高くなる傾向が見られました。
从网上问卷调查结果来看,40%的人认为“初老”是用来“形容60岁左右的人”。综合这些回答算出“平均年龄”(除去任何年龄都是“初老”的答案),可以看出女性眼中的“初老”年龄(较男性)偏高。此外,调查者年龄越高,他们所界定的“初老”的平均年龄也越高。
国語辞典で「初老」を引いたところ、「肉体的な盛りを過ぎ、そろそろからだの各部に気をつける必要が感じられるおよその時期」と書かれていました(『新明解国語辞典(第六版)』)。本来の意味での「初老」を過ぎた私は、この辞書の記述に諭されました。
字典上“初老”给出的意思是“身体过了全盛期,感到要留心各个部位的时候”(新明解国语辞典(第六版))。已经过了原来意义上的“初老”的我,看了这个解释顿时幡然醒悟,到了该注意身体状况的时候了。